お金のしくみ giving and taking of money 2004 8 24
このサイトの読者には、学生など、若い方もいますので、
今日は、高校生や中学生にも、わかりやすい話にしましょう。
ある町に、お金持ちのAさんという人が住んでいました。
ある時、近所に住むBさんから、お金の相談を受けました。
要するに、お金を貸してほしいという話です。
Bさんは、働き者で、職人としても優秀な方でした。
こうしたBさんのことを、よく知っているAさんは、
お金を貸しても、ちゃんと返してくれると判断しました。
返済期間は10年間で、金利が1%という条件で、お金を貸しました。
この話を聞いたCさんは、
「私も、お金に困っているから、貸してもらおう」と思い、
お金持ちのAさんのところへ相談に行きました。
しかし、Aさんは、どうしたものか困ってしまいました。
Cさんは、Bさんと違って、定職がないのです。
あちこちの会社に就職しては、すぐ辞めてしまうのです。
これでは、お金を返してくれるのか不安になります。
しかし、Aさんは、Cさんのことが気の毒になり、お金を貸すことにしました。
返済期間は10年間で、金利が5%という条件で、お金を貸しました。
Bさんには金利が1%で、Cさんには金利が5%という条件で、
お金を貸したことは、誰でも納得できるでしょう。
Cさんは、職業を転々としていますので、もしかすると、お金が返せない可能性があります。
だから、Bさんに比べて、そのリスクを、4%上乗せしたのです。
ここでは、Aさんが債権者、BさんとCさんは債務者となります。
債務者であるCさんは、お金を借りることができて、うれしかったでしょうが、
やはり、Bさんに比べれば、つらいことになります。
つまり、同じ100万円を借りたとしても、単純に考えれば、
金利は、Bさんが1%で、Cさんが5%ですので、
Cさんは、100万円を使って、5%以上の利益を上げなければなりません。
それに対し、Bさんは、100万円で、1%以上の利益を上げれば、十分、元が取れます。
さて、長々と書いてきましたが、
AさんとBさんやCさんの関係は、預金者と銀行の関係でもあるのです。
預金者は、銀行に対して、債権者なのです。
銀行は、預金者に対して、債務者なのです。
要するに、預金者が、銀行に、お金を貯金するということは、
銀行に、お金を貸していることと同じです。
現在のところ、金利は、どこの銀行でも、同じでしょうが、
もし、高い金利で、預金を集めるところがあれば、注意をする必要があります。
それは、AさんとBさんの関係が、
AさんとCさんの関係のようになってきたことを意味する場合があります。
高い金利は、預金者にとっては、うれしいでしょうが、
銀行にしてみれば、その高い金利以上に、稼がないと、
預金者に、預金と利子を保証できなくなるのです。
もちろん、「うちの銀行は、収益性が高いから、いくら高い金利をつけても、
預金と利子は心配ない」という優秀な銀行もあるでしょう。
しかし、そういう優秀な銀行は少ないのです。
銀行も、学校と同じで、優秀な銀行(生徒)もあれば、そうでない銀行もあるのです。
現在のところ、どこの銀行も、横並びで、金利は大差ありませんが、
本来、金利には、こうした注意すべき点があるのです。
金利は、信用とリスクを表現しているのです。
もちろん、こうしたことは、理論的な話で、
実際には、中央銀行や政府の介入によって(学校で言えば、先生の介入によって)、
金利には、あまり自由がないと言えます。
ただ、将来、どうなるか、わかりませんので、覚えておくべき話なのです。
話が最後になって難しくなりましたが、
要するに、銀行業界は、学校と同じなのです。
学校には、勉強ができる生徒、普通の生徒、勉強ができない生徒がいます。
この状態を、先生が介入して、なるべく、学力に大差がつかないようにしているのです。
学校の生徒が銀行業界、先生が中央銀行や政府と考えればよいのです。
預金者は、塾の先生になったつもりで、銀行(生徒)を判断すべきです。